blog

2013年2月24日 日曜日

会社と政治献金

会社による政治資金の寄付と取締役の対会社責任



  会社が特定の政党に政治献金をすることは、広く行われていることである。



では、かかる政治献金について会社法上いかなる問題があるだろうか。

  そもそも、かかる政治献金を行うこと自体が適法か(法的な可否)という問題がある。



  具体的には、会社が政治献金を行うことが公序良俗違反に該当するか否か、また、定款に記載された会社の目的の範囲外の行為に該当するか否か、といったことが問題とされてきている。



  仮に、会社による政治献金の適法性が否定された場合には、政治献金を行った取締役は会社に対し損害賠償責任を負うことになるであろう(会社法423条参照)。



  もっとも、適法な政治献金であると認められた場合においても、会社が政治献金を行えるのは、あくまで合理的な範囲である。この合理的範囲を越えて政治献金を行った場合、政治献金を行った取締役は忠実義務違反ないし善管注意義務違反として会社に対して損害賠償責任を負いうることになる。



  政治献金が、会社や株主の利益に直接的に資することのないものである以上、政治献金を行うにあたっては、通常の業務にかかる経営判断に比して、より慎重な判断が求められると考えられる。



  合理的な範囲か否かについては、会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位および寄付の相手方など諸般の事情を考慮して判断されることから、経営状態が悪化している会社などについては、政治献金を行うにあたって、より高度の慎重さが求められるであろう。

投稿者 竹村総合法律事務所 | 記事URL

2013年2月16日 土曜日

株主の名義

名義書換の不当拒絶等



  株主名簿上の名義人である名義株主と、実質上の権利者である実質株主は一致するのが原則である。しかしながら、例外的に一定の事情から異なってしまう場合がある。

  このように名義株主と実質株主が異なった場合、会社の円滑な運営と多数の株主関係の画一的かつ技術的処理を可能とするため、株主名簿の名義書換がなされない場合には、株式を譲り受けた者は、会社に株式譲受の事実を対抗できないとされている(会社法130条参照)。



  すなわち、株式譲受人の株主としての権利が制約されることになる。

もっとも、会社が名義書換を不当に拒絶している場合(例えば、会社が株式の譲受人の経営参画を警戒して名義書換を拒んでいる場合)や会社の過失によって名義書換が未了となった場合(例えば、会社の担当者のミスにより名義書換がなされなかった場合)には、例外的に株式の譲受人は会社に対し株式譲受の事実を対抗できるとされている。





 このように、株主名簿の名義書換をめぐって、従来から上記のような論点について議論されてきた。しかし、上場会社については、株式等の振替に関する法律が平成21年1月5日に施行され(いわゆる株券の電子化)、株式等振替制度に一斉移行したため、上場会社の株券は全て無効となっており、株主名簿の名義書換手続きについても無くなることになった。

 従って、上場会社については、名義書換の不当拒絶等の問題は事実上解消されたものといえる。


投稿者 竹村総合法律事務所 | 記事URL

2013年2月10日 日曜日

取締役退任と従業員引き抜き

  従業員の引き抜き行為

  取締役が会社に対して会社法上の義務を負うのは、その在任中に限られる。他方、退任後は原則として取締役としての義務を負わない(例外として、退任後の競業禁止特約がある場合がある)。

  このことからすると、取締役が退任後に同じ会社の従業員の引き抜き行為を行うことは、上記例外的場合等にあたらない限り、会社法上の義務違反による責任は生じない。

  しかし、取締役が在任中に同じ会社の従業員の引き抜き行為を行うことは、引き抜き行為の態様によっては、取締役の忠実義務(会社法355条)違反にあたる可能性があり、会社に対し損害賠償責任を負うおそれがある。

  従って、取締役が、在任中に同じ会社の優秀な従業員をヘッドハンティングすることは、場合によっては会社に対して損害賠償責任を負う危険性があるので注意が必要である。

投稿者 竹村総合法律事務所 | 記事URL

2013年2月 2日 土曜日

株主総会の通知

1 一部株主に対する招集通知漏れ


一定の例外的場合(会社法300条本文)を除いて、株主総会に際しては、株主に対して株主総会の招集通知を所定の期限までに発することが要求されている(同法299条1項)。

従って、わずかな議決権を有するに過ぎない株主に対して招集通知漏れがあった場合にも、かかる招集通知漏れは、株主総会の招集手続の法令違反(同法831条1項1号)として、決議取消事由となる。


 では、かかる招集通知漏れについて、自らは株主総会の招集通知を得た株主が、他の株主に対する招集通知漏れを理由に株主総会決議取消の訴えを提起できるであろうか。


 この点について、招集通知を得た株主にとっては、議決権行使の機会が適正に確保されているので、かかる株主にあえて決議の取消を求めさせる必要はないとも思える。しかし、判例は、株主総会決議取消の訴えが、決議の公正を確保するため法定された制度であることから、招集通知を得た株主も他の株主に対する招集通知漏れを理由に決議取消の訴えを提起できるとしている。


 このことから、招集通知漏れは、適正に招集通知を得た株主からも株主総会決議の取消の訴えを提起される可能性がある。従って、株式会社としては、事務処理上のミスなども含め、招集通知について漏れがないか十分に注意しておく必要がある。



投稿者 竹村総合法律事務所 | 記事URL